生きていく。ただ、それだけのこと。

システムエンジニア、旅、世界を学ぶこととか、雑記ぶろぐ。世界遺産マイスターになれました。

旅人の倦怠感。

8月からは、東京都内のコロナ感染者は1日平均200人が続いています。

ぼくの住んでいる街でも平均5人くらい。

緊急事態宣言時なみに外出を自粛しないと減ることはない。

まだ、しばらくはこんな状況が続くのだろう。

 ワクチンが開発されるまで。

逆にいうと、今の生活のままで劇的に増加することもないだろう。

勝手な判断だが、飲み会や濃厚接触を伴う活動以外ならもある程度問題ないと思っている。空気感染はしない。していたら、感染者はもっと多いのではなかろうか。

 

飲み会はさすがに控えているが、アクティブになり始めた。

山のぼり、美術館、一人飯、オープンテラスでのお茶会etc。。

この辺なら大丈夫。

一人が慣れてきた。

でも、一人に慣れすぎたくない。

人を誘うのが億劫だ。

このままだと、誰も誘わなくなってしまいそうだった。

コーヒーぐらいは飲みにいきましょう。

 

 

ベテラン旅作家 下川祐治

旅についての情報はインターネットに溢れている。

多くの人がブログにあげている。

情報として鮮度が高く、非常に役立つ。

ただ読み物として、書籍として発売されているものの方が好きだ。

沢木耕太郎高橋歩石田ゆうすけ村上春樹ナオト・インティライミ、オードリー若林。

旅本以外にも旅に関するエッセイも含まれているが。

作家さんからミュージシャン、タレントまで。

これらの書籍についてはいずれは紹介していきたい。

その中で今回、紹介したいのはベテラン旅作家「下川祐治」

アジア中心の書籍が多く、血沸き肉躍るような冒険をしているというよりも、だらだらっと滞在も楽しんだり、長距離列車や長距離移動バスでの移動や、いかに安く旅を仕上げるかなどが中心。過去には格安航空券についても本をだした。

 

やる気のないところ(いい意味で!)がいかにもバックパッカーらしい。

バックパッカーズ読本』の共著もしていたはず。

バックパッカーに憧れていたころに読んだ。

が、これは残念ながらお勧めできない。何が、というのすら、覚えていないほど。やはりバックパッカーには形なんて必要ないのだから。

 

下川祐治さんの書籍については賛否両論がある。

「愚痴が多い」

「仕事でやらされてる感がでてる」

などの評価低い口コミにみられる。

そういう私も過去にはそう思っていたかもしれない。

昔、何冊か読んだ時にも僕も同様の感想を抱いた。石田ゆうすけさん、ナオト・インティライミさんに比べると圧倒的にドキドキ、わくわく感が足りないのだ。

旅に対する過度の期待を抱いていた僕は次第に読まなくなった。

やがて、世界一周や短期間バックパック旅を経た自分。

本屋に平積みされていた本で久しぶりに下川さんに出会った。

10万円でシルクロード10日間

10万円でシルクロード10日間

 

全面カラー版で綺麗な草稿。

まだいったことない中央アジアへの旅を考えていた時だったので、思わず手にとった。

シルクロードの起点、中国西安からウイグル自治区キルギスカザフスタンを通り、ウズベキスタンまで陸路で。今回も相変わらず移動が多く、淡々とした旅。

その淡々さが心地良く、瞬く間に二周して読んだ。

また文体が懐かしく、昔読んだ本も読み直した。

あれ、面白いな。

本の内容が変わるわけない。

変わったのは自分だ。

槇原敬之の歌詞が昔より心に突き刺さる様に。

下川さんの旅についての倦怠感が共感でき、突き刺さるのだ。

 

旅行や旅って考えるだけで楽しく、非常にワクワクする。

しかし、長旅になると楽しいばかりではないのだ。

感動や感情の擦れ、ぼったくりとの闘い、安宿続きでの見えない疲労、時間通りにこないバス・電車、細かいことをあげればきりがない。バックパッカースタイル旅になればなおさらだ。いや、下手したら楽しくない時間のほうが多いかもしれない。

帰ってきてから、旅の途中ですら

「次はバリ島でのんびりする!」

「ハワイっていいところらしい!」

と必ず思う。

それでも、僕らはバックパッカー旅にでるのだ。

自分の体に鞭打つようなつらい、めんどうな旅に出たくなるのだ。

バックパッカーの本質ってそこにあるような気がする。

ふとしたタイミングで長距離バスにのりたくなる。

長距離バスにのるために旅にでる。

僕もいまは一応サラリーマンだ。

普通にしてたら休みはお盆、GWぐらいの1週間が限界だ。

なのにその短い一週間の旅行で22時間のバス移動を日程に組み込んだことがある。

非常にもったいない時間の使いかたをした。

しかし、そのときはどうしてもそれがしたかったのだ。

バスにのって外を眺める。

飽きてから本を読む。

眠気に誘われ眠る。

おきて音楽を聴きながら外を眺める。

腰がいたくなる。

眠たいけど熟睡できない。

ひまになる。

早く着かないかな、と思う。

残り10時間もある。。。

。。

それがしたくなるのだ。

 

まさに下川さんの書籍からはそんなにおいがする。

仕事でやらされ、愚痴も多い。

狭くるしいバス内で小さくなって眠る毎日。

そんなのが楽しいわけない。

 

でも、いくら仕事とはいえ、そんなことを長く続けられるわけない。

そう、下川さんもそんな旅行をしたがっているんだと思う。

時間がかかっても、安くつらい旅を。

旅中には「もう帰りたい」と思う旅を。

そしてやっと帰ってきてからは「思い返すと楽しかったな」と思う旅を。

わかる。

いまならわかる。

バックパッカーだから味わえる旅の倦怠感を。

とても共感できる。

ぜひともこの倦怠感を味わってほしい。

 

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